2022_進路新聞ハワイ版11号
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CaliforniaStateUniversityDominguezHills(「IslandVintageWineBar」米国・カルフォルニア州)に●Profile1988年、アメリカ合衆国ハワイ州ホノルル生まれ。日本人の両親のもと、中学時代までホノルルで過ごす。2004年4月、日本の西武台高等学校(埼玉県新座市)にサッカー留学し、3年間サッカーに没頭する。卒業後、進学。21年8月からは、ハワイ・ホノルルにあるにおいて、ワインソムリエ兼ジェネラルマネジャーとして辣腕を振るっている。No.11, 2022[ Spring Special Issue]ゲストの好みに合わせたワインを提供するために「日々努力と研究を続けている」という飯濱隆太さんゲストとしてIsland Vintage Wine Barを訪れたバラク・オバマ元アメリカ合衆国大統領と記念のひとコマ アメリカ合衆国ハワイ州のホノルルで評判の「Island Vintage Wine Bar」でワインソムリエ兼ジェネラルマネジャーとして活躍しているのが飯濱隆太さんです。ホノルルで生まれ育った飯濱さんは、高校時代を日本で過ごした日本留学経験者です。飯濱さんにこれまでのキャリアパスを振り返っていただくと共に、日本留学や観光業界への就職を考えるハワイの若者にメッセージを送っていただきました。―現在のお仕事内容について教えてください。ハワイのホノルルに店舗を構えている「Island Vintage Wine Bar」というレストランでワインソムリエとして働いています。ワインのご注文を受けた際に、普段親しんでいるワインの種類や好みを聞きながらお客様の口に合う種類を絞り込んでいきます。中にはいつもとは違う種類のワインをご希望する方もいらっしゃいます。お客様のご要望にお応えできるように珍しいワインなどもご用意させていただき、シチュエーションに合わせて、コミュニケーションを図りながらお好みに合いそうなワインを見つけていきます。 また、兼任でジェネラルマネジャーのポジションも任されています。従業員のシフト管理や教育など、店舗の管理に関わるマネジメント業務を担当しています。ある「マスターオブソムリエ」を所持するワインディレクターが当レストランで働いていたことも理由の一つです。ワイン選びのプロフェッショナルであるワインディレクターが何を基準にしてワインをセレクトしているのかなど、実際に近くで観察することで学べることがたくさんあるからです。―お仕事をする上で特に意識していることをあげてください。お客様が何度も足を運びたくなるように、細かいところまで行き届いたサービスを提供するように心がけています。そのためには、どのようなサービスが求められているのかをリサーチする必要があります。また、従業員に対する徹底した教育も重視しています。従業員には、常に緊張感を持って業務に取り組むように日常的に指導しています。―大変なのは特にどのようなところですか?食の好みは人によって全く異なるため、私の中の「美味しい」の基準が必ずしも相手に通用するとは限らないところです。相手の好みの味覚を見つけることは容易ではありませんが、そこがこの仕事のおもしろい部分でもあります。選択肢を増やすためには、ワインに関する知識や視野を広げておく必要があります。最近ではワインをただ飲むということではなく、味覚や風味をしっかりと味わいつつ考えながら飲むように心がけています。―やりがいを感じるのはどのような場面なのか、教えてください。お勧めしたワインがお客様の好みに合致し、喜ぶお姿に接した瞬間に大きな達成感があります。また、ハワイには数多くの有名レストランがあるにも関わらず、滞在期間が限られている観光客の方々が、何度も私たちのレストランに足を運んでいただけることがあると大きなやりがいにつながっていきます。―高校生時代に日本にサッカー留学をしていたとうかがいました。幼少期から地元のサッカークラブに所属していました。中学生の時に、当時ハワイの大学に通う日本人学生と一緒にサッカーをする機会がありました。彼らから「全国高校サッカー選手権大会」の話を聞いているうちに、ハワイとは規模や注目度が大きく違う点に強い憧れを抱き、日本の高校でサッカーをやりたいと考えるようになりました。しかしながら、両親に相談したところ、すぐに納得してもらうことはできませんでした。実は、所属していたサッカークラブの監督が日本人で、かつ日本のサッカー強豪校出身だったこともあり、コーチの協力を得ながら両親を説得するようにしました。その結果、部活動に熱心に取り組んでいる埼玉県の西武台高校に3年間サッカー留学をすることができたのです。日本留学の3年間は、毎日が部活動中心の生活でした。最終的には選抜メンバーになることはできませんでしたが、強豪校で大好きなサッカーに一生懸命取り組むことができたので少しも後悔していません。残念ながら、サッカーのプロ選手になるほどの実力がないことは自覚していましたので、迷うことなく気持ちを切り替えて次のことに挑戦する構えができました。応援してくれた両親にはとても感謝しています。―高校卒業後のキャリアを教えてください。当時の私は、ハワイに戻ると自分がもう成長できないのではないかと考え、西武台高校卒業後、アメリカのカルフォルニア州の大学に進学しました。大学では「スポーツエンターテイメントアンドホスピタリティ」について学びました。レストランやホテルなどのサービス業全般について深く学んだことが、現在の仕事につながっています。―観光業や日本留学に興味のあるハワイの若者に向けてメッセージをお願いします。観光業は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を激しく受けています。観光客が大幅に減少したことに伴って、それ以前のやり方では安定的な経営が難しい状況にあります。観光客だけをターゲットに絞るのではなく、地元のみなさまにも満足できる新しいサービスや提案を考えなければいけません。常にさまざまなプランを考えておくことで、非常時に柔軟な対応をすることができるのだと思います。また、ハワイで観光業に携わるのであれば、日本語を話せると即戦力として活躍できる可能性が非常に高まります。敬語がやや不十分であっても、態度や表情などでお客様に対しておもてなしの精神を伝えることはできます。サービスをする心を態度で示すことが重要です。また、少しでも日本に留学したいという気持ちを持っている人は積極的に挑戦してみてください。知り合いや頼れる人がいない中で苦労をすることも少なくありませんが、自分自身を強くさせるチャンスになるはずです。―今後の目標をどこに置いていますか?ワインの素晴らしさを広めるために、初心者から上級者までの幅広い層を対象とするワイン会を開催したいと考えています。そのプロセスとして、いまはワインに関する知識を増やすための勉強に取り組んでいます。ハワイの気候がワインづくりに適していないことから、アメリカ本土と比較すると、残念ながらハワイにはワイン文化がそれほど根づいてはいません。決して恵まれた環境であるとは言えませんが、逆にこれからワイン文化を広めるチャンスだと捉えて挑戦を続けていくつもりです。The Shinro Shimbun Hawaii Edition―ワインソムリエとして働くことになったきっかけは何ですか?以前、アルコールの買い取りを行う会社で働いていたことがありました。そこでワインについて勉強をする機会があり、もともと、ワインを飲むことが好きではありましたが、知れば知るほどワインに対する興味が膨らんでいきました。現在勤めているレストランに就職したのは、机に向かって勉強するよりも知識や技術を早く身につけることができそうだと思ったからです。いまは一人でも多くの人にワインの魅力を伝えたいという強い気持ちで仕事に取り組んでいます。また、世界的に権威のあるワインの資格で14Special Interview飯濱 隆太さん周囲の意見に流されず自分の意思を貫くことが成功へのカギ興味のあることに積極的に挑戦を続ける姿勢が道を拓く

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