進路新聞ハワイ版14号
6/14

2000年、神奈川県生まれ。3歳の時にハワイに移住し、現地の教育機関に通いながら日本語を学ぶ。カラニ高等学校時代には、日本語の授業を選択し、広島県に交換プログラムの一環で来日。卒業後は、カピオラニコミュニティカレッジに進学し、調理学を専攻。現在はハワイで人気のプレートランチ店「パイオニアサルーン」で働きながら日本語のさらなる上達を目指す。進路情報研究センター・ライセンスアカデミーが擁する日本語教育施設「友ランゲージホノルルセンター」において一カ月間集中的に日本語を学ぶプログラムに参加。日本語力が急上昇中と評判を呼ぶ。●ProfileNo.14, 2023[ Summer Special Issue]友ランゲージアカデミーの金子史朗校長●㊧と片山リョウタさん『パイオニアサルーン』での経験を通じて再度日本語を学ぼうと決意した 日本で生まれ、ハワイで育った片山リョウタさん。高校時代には、幼少期から身近にあった日本語の習得を志して日々学んでいたといいます。現在はハワイのプレートランチ店「パイオニアサルーン」で働きながら、より実用的な日本語スキルの習得を目指して勉強中と語ります。 日本語や日本文化に興味を持ったきっかけをはじめ、ホノルルセンターでの日本語学習についてお話をうかがいました。―日本に興味を持ったきっかけについて教えてください。神奈川県の湘南地域で生まれ、3歳の時にハワイへ移住しました。移住するまでの日本での生活はあまり覚えていませんが、両親が日本人ということもあって、家族間ではなるべく日本語を使ったり、小学生時代には毎年日本を訪れたりするなど、日本語や日本文化が身近にある生活を送っていました。 日本のアニメーションや漫画に興味を持っていましたので、カラニ高等学校(アメリカ・ハワイ州)に進学後は3年間日本語の授業を選択し、勉強に励みました。とはいえ、幼稚園からずっとハワイでしたので、家族間でしか日本語を話す機会がなく、生活の中心にあったのは英語でした。そうした環境に身を置いていたため、日本語のフレーズや単語を忘れてしまうことも少なくありませんでした。これまで身につけてきたことを忘れず、さらに日本語を上達させたいという気持ちが強かったため、学校で日本語を勉強できるというのは本当に嬉しくラッキーでした。―高校ではどのように日本語を学びましたか?習い始めたばかりの頃は、英語を使いながら日本語を学んでいきました。少しずつレベルが上がっていくにつれ、授業がすべて日本語で行われるようになり、日本語を話す機会がより一層増えました。振り返ると、先生の教え方がとても分かりやすく、漢字も一生懸命覚えました。 また、広島県の高校とのエクスチェンジプログラムでの経験も印象的でした。特に、原爆ドームは戦争について知ることができて勉強になりました。日本の文化や歴史にふれることができて貴重な経験でした。―大学での専攻を教えてください。カピオラニコミュニティカレッジ(アメリカ・ハワイ州)に進学し、調理学を学びました。ハワイのプレートランチ店「パイオニアサルーン」でアルバイトの経験があり、「料理」を深く学びたかったのです。現在もパイオニアサルーンで働いており、今年で6年目になりました。 パイオニアサルーンには、多くの日本人観光客が訪れます。日本人スタッフも働いているため、日本語で注文を取ったり、スタッフとコミュニケーションを図ったりなど、日本語を話す機会に恵まれています。―日本語を約一カ月間集中的に学んだと聞きました。大学を卒業後、日本語を使う機会が大きく減ってしまい、仕事での接客を通じて日本語を学び直したいと考えるようになりました。そうしたタイミングで、「友ランゲージ ホノルルセンター」の存在を知り、一カ月間集中してあらためて日本語を学ぶ決心をしました。 意外に思われるかもしれませんが、残念ながら、ハワイには、高校や大学を卒業した後に通う日本語学校がほとんどなく、日本語の勉強をあきらめてしまう人も少なくありません。だからこそ、これがチャンスだと感じ、すぐに行動に移しました。―どのようなことを学びましたか?漢字と敬語に重点を置いて学びました。漢字を勉強しようと思ったきっかけは、日本を訪れた際にさまざまな場所で漢字を見かけたことです。平仮名とカタカナだけでは、逆に意味を理解するのが難しいのではないかという印象を持っていました。また、趣味で日本の漫画をよく読むため、スラスラと読めるようになりたいという思いもありました。 敬語は、特に業務上必要になるものだと考えています。お客様のご注文を受ける際、日本語では「分かりました」「承知しました」など、ていねいな言葉遣いがなされている気がします。しっかりと敬語表現を理解しつつ、日本語で日本人観光客や日本人スタッフと会話を楽しみたかったのです。日常生活においてもきちんとした日本語を話せるようになりたいと思い、敬語の学習に力を入れていました。―素敵なお話ですね。集中学習の率直な感想をお聞かせください。実際に学び始めると、一カ月は瞬く間に終わりました。私は一人で机に向かって勉強をするのが苦手でしたので、概説や発音、時には勉強方法をていねいに指導していただけたのはとてもありがたく感じました。 私一人の力だけで勉強したのでは、ここまで上達することはおそらく難しかったかもしれません。学校に通っている時でも、卒業してからでも、学びたいと感じた時にすぐに通える日本語学校がハワイにもあれば良いですよね。―予習・復習はどのように行っていましたか?授業が終わった後、次の授業が始まるまでのごくわずかな空き時間でも活用していました。授業で習ったことは、その日のうちにドリルを使用して何度も繰り返し書く練習を行うことで身につけることができたように思います。 もちろん、それだけでは覚えられないことや忘れてしまうこともありますので、次の授業の前日に再度復習に取り組むようにしていました。授業で学習したことを確実に覚えるよう心がけていました。―日本語がとても上手で驚きました。今回の学習を終え、成長の手応えはありましたか?学びを終えた後、日本に行く機会がありましたので旅行をした際に自分の成長が実感できました。例えば、電車で移動している際、次に到着する駅の名前が読めたことはとても嬉しく感じました。ドリフト競技大会「フォーミュラドリフト」というイベントを観戦するため、静岡県の富士スピードウェイまで行くことにも挑戦しました。電車で片道二時間半かかりましたが、無事に到着できた時は感激しました。 旅行中には、レストランなど、さまざまな場所に足を運びましたが、敬語を実際に使う場面も多くありました。臆することなく会話できたことが自信にもつながりました。恥ずかしがらずに積極的に日本語を話すこと、学んだことを生活の中で実践することが重要だと思います。改めて、日本語を勉強して良かったと体感できる経験となりました。―日本留学を考えているハワイの若者のみなさんにメッセージをお願いいたします。私は、「なぜ日本語を学びたいと思っているのか」を明確にすることが大切だと考えています。それを目標として常に頭の中に置いておくことで、真剣にコツコツと勉強に取り組むことができました。 また、日本語を使う趣味を持つとより学習がはかどりそうです。私は日本語の本や漫画を読むこと、テレビ番組やアニメーションなどを見ることが趣味の一つです。趣味を通して楽しみながら勉強をすることで、意欲を失わずに勉強を継続できました。 日本語の勉強を始めることは、年齢やバックグラウンドに関係なくできることだと思います。「勉強したい」と感じる人は、ぜひ簡単なことからでも一つずつ勉強するようにしてみてください。The Shinro Shimbun Hawaii Edition6自分のルーツが日本にあることを常に意識高校進学を機に日本語習得を決意片山 リョウタさん幼少期から日常的にふれてきた日本語と日本文化「日本語を学びたい」という思いを働きながら実現約一カ月間におよぶ日本語集中学習日常生活における実践が成長の実感にSpecial InterviewSpecial Interview

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る